ノルマとミッションの違いを考える

「人が生産的であるためには,仕事のスピード,リ
ズム,持続時間を自らコントロールできなければ
ならない。」
マネジメント上P235

人間はスピード,リズム,持続時間を強制させると
乳酸がたまり著しく効率が悪くなるそうです。

ところが,奴隷の仕事はスピード,リズム,持続時
間を強制させていたように思います。

ヒューマン・エンジニアリングなどなかった時代
です。

明治時代の女工も似たようなものだったのかも知
れません。

工作機械がなかったので,人間が機械のように馬
車馬に働かせる必要があったことも手伝って,仕
事はスピード,リズム,持続時間を強制させるよう
な労働でした。

自らコントロールするなど,もっての外だったわ
けです。

酷使して動けなくなった奴隷は,文字通り使い捨
てとなります。

明治時代の女工も,結核が蔓延する不衛生な職場
で酷使され5年以上働く人はまれだったといわれ
ています。

とんでもない時代だったかも知れませんが,そも
そも食糧事情も悪かったので,奴隷になるか女工
として働くかを選択しないと餓死するしかなかっ
た時代です。

人権うんぬんを議論するよりも,明日の飯を心配
しなければいけない時代だったからこそ,許され
たということでしょうか?

食糧事情が改善し,寿命が延びたことで,人権に対
する意識も変化しましたが,変化したのは意識だ
けというのでは困るということですね。

人を馬車馬のように酷使するという発想から抜け
切れず,悪い意味での体育会系職場では,未だ奴隷
的な酷使をし,理不尽なことがまかり通ったりす
る傾向がありますね。

いわゆるブラック企業における過労死というもの
です。

ところが,仕事のスピード,リズム,持続時間を自
らコントロールすることが生産性を高めるといわ
れても,各々が,勝手に動き出されても困るわけ
です。

仕事のスピード,リズム,持続時間を各々がコント
ロールするのではなく,仕事のスピード,リズム,
持続時間を強制させた方が管理がしやすいのも事
実だと思います。

こうして,仕事のスピード,リズム,持続時間を
各々がコントロールすることが,生産性を高める
のだといわれても,なかなか踏み出せない理由な
のかも知れません。

そこで,重要なものがミッションです。
ミッションがなく仕事のスピード,リズム,持続時
間を各々がコントロールされたら,組織はカオス
になります。

ミッションあってのコントロールです。
Aという製品を一日1000個作る。

あるいは,A地点からB地点に運ぶというのもミ
ッションですが,下手するとミッションではなく
ノルマに変わってしまいます。

一日1000個作れなかったら?
あるいは,A地点からB地点に運べなかったら?

そのときは,罰ゲームというミッションでは,奴
隷時代の労働と何一つ変わっていないことになり
ます。

ミッションは,共感を呼ぶものであることです。
働く人とお客さまを幸せにするようなものでなけ
ればなりません。

そうでないと,ミッションがいつの間にかノルマ
に変わってしまいます。

ちょっと抽象的かも知れませんが,一日1000個
作るというミッションではなく,一日1000個作
ることで,1000人の子どもたちの笑顔が見られる。

A地点からB地点に運ぶというミッションではな
く,A地点からB地点に運ぶことによって,素晴
らしい出会いを応援する。

たったこれだけで,ノルマに変わってしまうミッ
ションから,意味のあるミッションに変わってい
きます。

そして,自らが共感を得る目標に向かって,どん
な貢献が出来るか,そして,そのためには,どん
な責任を負うべきかを考えさせるものであること
です。

それが,仕事のスピード,リズム,持続時間を強制
するのではなく,自らが仕事のスピード,リズム,
持続時間をコントロールする第一歩となります。

しかし,こうしたミッションを考え抜き,組織に
浸透されるには,大変な時間と労力が必要です。

そして,もっと大変なのが,自らがどんな貢献し
て,どんな責任を負うべきかを考えることですね。

それゆえに,ミッションではなくノルマを課して
コントロールした方が楽だからでしょうか?
ブラック企業というものがなくならないわけですね。

さて,あなたの職場は,仕事のスピード,リズム,
持続時間をある程度コントロール出来るでしょうか?

それとも,厳しいノルマが幅を利かせていますか?
われわれは,ノルマとミッションの違いをもう少し
真剣に考える必要があるように思います。

生産的な職場というのは,理想ですけれども,実
現するあるいは,そういう職場に巡り会えるのは,
もしかしたら,大変なことなのかも知れませんね。

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