年商は会社の優劣と無関係

いかなる企業といえども,市場の拡大と歩調を
合わせていくうえで必要とされる最低限度の成長
を超えて,より大きくなろうと懸命になる必要は
ない。」

「繰り返すならば,目標としての成長は幻影である。」
マネジメント下P261

会社の規模のモノサシとして,よく使われるのが,
年商○億というものです。
あるいは,社員数や営業拠点などですね。

マスコミなどで取り上げられるのは,比較的規模
の大きな企業が多いだけに,年商などの会社の規
模の拡大に走ってしまう欲求が出てきますね。

コバンザメや寄生虫のような習性が備わっていれ
ばよいのですが,人間はそのような習性を持ち合
わせていないのかも知れません。

弱肉強食の世界の隙間を生き抜くのではなく,真
正面から戦ってきた人間は,相手に弱みを見せる
のではなく,相手に自分をより大きく見せようと
するのかも知れません。

また,基礎的な物理の法則を人間は教えられなく
ても理解しています。

軽自動車と大型トラックが衝突したら,軽自動車
が吹き飛んでしまうことは,物理の法則を知らな
くても,当然のこととして脳が判断します。

小さなものよりも,大きなものの方が安全だとい
うことを本能的に感じ,大きなものを選択する傾
向がわれわれにあります。

いわゆる見栄というヤツですね。
見栄を張るというのは,恥ずかしいことだという
教育を受けていますが,これがなければ我々は死
に絶えていたと思います。

弱肉強食の世界で真っ先に食われるのは,群れの
中で弱ったものです。

そうならないためには,自分が弱っているそぶり
を見せてはいけないのです。

お腹を壊して調子が悪かったとしても,敵にそん
な素振りを見せていたら,真っ先に食われてしま
います。

ところが,現代は,自然界の弱肉強食の世界ではあ
りません。

また,物理の法則でマネジメントをしているわけ
でもありません。

見栄もある程度,必要ですが過度な見栄は,逆に自
分を苦しめます。

しかし,見栄という呪縛に人間はなかなか,打ち克
つことができないようです。

規模の大きさ,特に年商が,相手に自分を大きく見
せるためのわかりやすい指標であるがゆえに,大
は小を兼ねるとばかりに拡大競争をしてしまうの
かも知れません。

ところが,特に知識型産業の場合は,規模の大きさ
よりも,独自の技術やノウハウで成果をあげます。

年商は会社の優劣とは無関係であり,自然界の
弱肉強食の論理は関係ないわけです。

むしろコバンザメや寄生虫のようなニッチなやり
方が差別化の原動力となり成果をあげることが出
来る可能性があるわけですね。

会社の規模というモノサシが優劣を決めるわけで
はないにも関わらず,人類の長い歴史が,コバンザ
メや寄生虫の生き方を選択しなかったがゆえに,
つい意味のない拡大に走ってしまうということで
すね。

特に知識型産業の場合は,規模を大きくして拡大
路線に走ると成長の原動力となった独自の技術や
ノウハウのあくなき追求が二の次となり,数字を
負うことに重点がおかれてしまいがちです。

拡大路線は,ある程度必要ですが,拡大路線には
限度があるということを知らなければなりません。

人間に誰でも備わっている見栄という誘惑に勝
ち, 「目標としての成長は幻影である。」という気
持ちの余裕を持ちたいものですね。

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