利益は誰のものかは,不毛な議論

「これまで利益とされてきたものは,実は,明日の
ためのコストにすぎない。」
「したがって最大の問題は,リスクに見合うもの
だけのものがあるかどうかである。」

断絶の時代第二部第7章

「これまで利益とされてきたもの」とあるように,
利益というものは,あくまでも利益であって独立
した概念だったわけです。

今日の企業会計でも,利益とは,売上から原価(コ
スト)控除した余剰分であって,利益はコストと
はみなされません。

それはさておき,これからは,利益を明日のための
コストだと考えましょうとするのが,ドラッカー
からの提案です。

利益を狩猟生活時代の獲物として捉えるならば,
それは構成員に公平に分配すべきものであるとい
うことになります。

狩猟生活時代は,当然のことながら冷凍保存技術
などありません。

獲物は,すべて食べつくす必要があるからです。
この論理を現代の事業活動に当てはめると大変な
ことになります。

まず,構成員は誰かということになります。
ちょっと最近,あるいま今でも?

構成員は株主であるから,全部配当に回すべきで
あるという極端な企業乗っ取り屋が暗躍しました。

もう一つの考え方は,1960年代から1970年代頃が
全盛だったのでしょうか?

構成員は従業員であるから,従業員の待遇を向上
させるべきであるするもので,資本家は搾取する
存在であり,敵視の対象であるとするマルクス
労働争議となりました。

しかし,いずれもが無効であったといっていい
でしょう。

西武鉄道が以前,投資ファンドに乗っ取られそう
になりましたが,投資ファンドは,不採算路線の
廃止を提案してきました。

確かに経済効率を考えると不採算路線は廃止すべ
きとなりますが,鉄道には,交通弱者の貴重な足
であり,これを奪うことが許さていいのかという
公共的な側面があります。

経済効率だけを優先し,社会的責任は放棄しても
良しとすることに,違和感を抱く人が多いのでは
ないでしょうか?

また,企業は従業員のものであるとする考え方が
蔓延するのも問題です。

若い方はご存知ないかも知れませんが,かつての
国鉄(現在のJR)は,ストだらけで,車内は汚く,
駅のトイレは悪臭が漂っていました。

社員を幸せにする会社というのが,流行りました
が,私も意外と古い人間ですので(苦笑)

社員の幸せを最優先に考えた国鉄が,どんな醜態
を晒していたかをを思い出し,未だに社員を幸せ
にする会社というフレーズに強い嫌悪感があります。

会社は社員のためにあるとすると,肝心の顧客満
足度の視点がなくなり従業員の満足を顧客に押し
つけ,嫌なら乗るなみたいな体質になってしまい
ます。

結局,乗っ取り屋も従業員満足も,多くの支持を
得ることが出来ず,目論見通りには進みませんで
した。

利益は,狩猟生活時代の獲物とは違うということ
の証明だったといえるかも知れません。

ちょっと笑い話かも知れませんが,現代でも狩猟
生活を営んでいる部族がいます。

この部族に農業を根付かせようとヤギを与えた
ら,全部平らげてしまうので,農業がなかなか根付
かないそうです。

農業を根付かせるためには,自分たちが食べるヤ
ギと再生産が可能な分だけ,一部のヤギを繁殖に
まわさなければなりません。

これと全く同じ理屈が利益にも当てはまるという
ことです。

事業を継続可能な必要最小限利益を稼ぎ,将来に
投資しなければならないのです。

また,利益を獲物として捉えると多いほうがいい
ということになり,ムリをするとヤギを全部平ら
げてしまった部族のようになってしまいます。

そして,利益は多いほうがいいという考え方は,し
ばしば粉飾決算や不正行為の温床にもなります。

利益が獲物だった時代の仕事は,狩りに出かけて
獲物を仕留め,構成員に分配したら,終わりという
一過性のものだったわけです。

この時代は,利益はあくまでも利益でありコスト
とは無関係のものだったわけです。

ところが,現代社会における事業活動は一過性の
ものでは困るわけです。
継続性が要求されるわけですね。

しかも,われわれの寿命も狩猟採集生活とは比べ
物にならないほど長くなりました。

狩りをしたら,それで一件落着という仕事の仕方
は長くて30年しか生きられない時代であれば,そ
れでいいのかも知れません。

しかし,われわれは,もはや狩猟採集生活に戻るこ
とは出来ません。

落ち着いて考えれば,わかりそうなものなのかも
知れませんが,先進国ですら,多くの人が飢えと戦
い,まさに食べるためだけに働いていた時代が長
かったので,利益をコストと考える感覚が定着し
にくいのかも知れません。

利益をコストだと考えないがゆえに,利益は
誰のものかという不毛な議論が起きるわけです。

利益は,明日に備えるためのコストとして捉える
感覚が,まだまだ一般的に受け入れがたく,利益
は,獲物の如く,分配すべきものと扱ってしまう
感覚がなかなか抜けないということですね。

われわれの感覚が利益を誤った方向に導く習性
が抜けないのであれば,いっその事,利益と呼ぶ
のはやめようというドラッカーの提案は,ある種
の解決策を示しているように思うのですが,いか
がでしょうか?

さて,あなたにとっての利益は何でしょうか?
やはり,利益は利益でしょうか?

それとも,未来のコストだという提案を受け入れ
られますか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです!
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

オーナー社長と従業員の長時間労働は本質的に異なる

「人は,一つの動作しかしないと疲労する。心理的
な退屈以前の問題として,生理的な疲労が出る。乳
酸がたまり視力が落ちる。反応が遅くなりムラが
出る。」
マネジメント上P234

「自らのものではないスピード,リズム,持続力を
強要されるほど,人を疲れさせ,抗わせ ,いらつか
せるものはない。人はみな,それらのことに耐えら
れない。」
マネジメント上P235

人間の特性をよくあらわしていると思います。
ところが,人間の特性をいかしていない仕事がま
かり通ることがあります。

いわゆるブラック企業は,「自らのものではないス
ピード,リズム,持続力を強要」しているように思
います。

ブラック企業のような仕事の仕方は,今に始まっ
たことではありません。

人間が集団で仕事をするようになった太古の昔か
ら続いている仕事の仕方といえます。

人類の歴史で,人権的な問題はさておき奴隷の存
在は切っても切れない関係にありました。

奴隷は,「自らのものではないスピード,リズム,持
続力を強要」されていたわけです。

そして,動けなくなると虫けらのように処分され
ていました。

人間の出来た指揮官に恵まれた場合は,それなり
に丁重に扱われたこともあったらしいですが,
大抵は,動けなくなると処刑でした。

人権などあったものではありません。
しかし,当時と現代とで大きく違うのは,食糧事情
があまりにも悪かったということですね。

そして,ブルトーザーもクレーンもありませんで
した。

人間がブルトーザーやクレーンの役割を担い,農
地を開墾し,水害などの危険から身を守らなけれ
ばなりませんでした。

当時の人が奴隷に対してどのような感情を持って
いたのか?

当時の人の人権に対する考え方や価値観がどのよ
うなものであったのか?

本当のところは,よくわかりませんが,人権よりも
飢餓や災害の危機を回避することが,全てに優先
したのではないかと思います。

明治時代の女工哀史に代表されるように,女工
結核に罹り,10年も働くことは出来ませんでした。

しかし,女工という働き口があったことによって,
間引きや餓死が減ったという事実があるようです。

特に女性は間引きの対象になりやすかったらしい
のです。

皮肉な事実なのかも知れませんが,結核で命を落
とした女工は,結核に罹る以前に,間引きや餓死で
命を落とす可能性が高かったということです。

女工にとって,餓死と結核のどちらが幸せだった
のか複雑なところですが,少しでも長く生きると
いう意味では,,女工になる方が幸せだったのだろ
うと思います。

実際に結核を患わずに仕事を全うした女工は,当
時としては,恵まれた暮らしをしたようです。

とはいえ,今日では少なくとも餓死する可能性は
ほとんどなく,むしろ肥満が原因で命を落とす時
代です。

しかも,多くの肉体労働が機械に置き換わりました。
ところが,時代の進歩に仕事の仕方や価値観が追
いついていないような場面に遭遇します。

人が,ブルトーザーやクレーンの代わりをやらざ
るを得なかった時代の仕事ぶりから抜けきること
は,思ったほど簡単ではないようです。

「自らのものではないスピード,リズム,持続力を
強要」するブラック企業があとを絶ちません。

ブラック企業として槍玉にあがった企業がありま
すが,創業者や一代で財をなす人は,たいていブ
ラック企業的な長時間労働をしてきた人です。

定時に帰って,土日はしっかり休み,お盆と正月
は実家に帰るようなことをしていたら,宝くじに
当たるか,稀有な才能がない限り,財をなすこと
はムリだと思います。

休日返上で,長時間労働あたり前の世界でないと
ダメで残業もせずに成果をあげるなんて,詐欺か
まやかしだと思っていると思います。

実際に,ビル・ゲイツの起業物語を読むと,不眠
不休で働いています。

ビル・ゲイツは,残業せずにサッサと帰り,効率
よく仕事をしたから成果をあげたわけではないの
です。

ブラック企業といわれても,幹部の人間は,ピン
と来ないのかも知れません。オレは,常にこれだ
けやってきたんだと開き直るかも知れません。

しかし,同じ長時間労働でも,「自らのものではな
いスピード,リズム,持続力を強要」されたものと,
自らの野心のために率先して長時間労働を買って
出たものとは質が違うということです。

しかも,世の中の人がみな,そのような働きに耐
えられるわけではないのです。

また,奴隷時代のように,要求した仕事が出来な
ければ,処刑するか餓死させることが許された時
代でもありません。

もちろん,ゼロの状態から,何かを為すには,
今も昔も馬車馬のように働く人を必要とすることに
変わりないと思います。

いわゆる昔ながらのモーレツ社員が全く過去のも
のになったわけではない筈です。

しかし,全員に要求するのは,やはり間違ってい
ます。

自らの野心のための長時間労働とごく普通の平凡な
人間の長時間労働は,本質的に異なることを意外
とオーナー社長は気がついていないことが多い
かも知れません。

しかも,奴隷時代のような馬車馬のような働きでは
なく,その人の強みや創造性によって成果をあ
げる時代になったことも忘れてはいけません。

「自らのものではないスピード,リズム,持続力を
強要」することは,社会的責任として許されない
というだけでなく,肝心の業績も働くひとの創造
性が失われて,命取りになる可能性があるという
ことですね。

さて,あなたの職場はどうでしょうか?
「自らのものではないスピード,リズム,持続力を
強要」されていますか?

それとも,ある程度の裁量が許されているでしょうか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
→ http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです! 
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

作り笑いと本気の笑顔

「人が生産的であるためには,仕事のスピード,リ
ズム,持続時間を自らコントロールできなければ
ならない。したがって,仕事は均一に設計しなけれ
ばならないが,労働には多様性をもたせなければ
ならない。スピード,リズム,持続時間を変える余
地を残しておかなければならない。仕事の手順も
頻繁に変える必要がある。」
(マネジメント上P235)

「仕事は均一に設計しなければならない」という
部分は,ファーストフードに代表される仕事のマ
ニュアル化ですね。

昨日入ってきた新人でも,マニュアル通りにやれ
ば,そこそこ仕事がこなせるというマニュアル化
というのは,ある意味画期的だったのかも知れま
せん。

それまで,接客も味もイマイチだった飲食店をど
んどん淘汰し,日本の飲食業界に革命をもたらし
たわけです。

ファーストフードの味については,セントラルキ
ッチン方式でやっている限り,こだわりの専門店
には勝てないと思います。

しかし,接客については,その街の一番になれる
可能性を残していますが,実際にはそうなってい
ないのが実態ではないでしょうか?

同じようにマニュアル化が徹底されている東京デ
ィズニーリゾートの接客よりも,ファーストフー
ドは劣っているように思います。

ファーストフードの接客は,どうもワンパターン
で,最初はいいけどだんだんと飽きてきます。

ウリだったハズのスマイルも,ディズニーリゾー
トのスマイルに比べると作り笑いに思えてしまう
のです。

そもそも,時間給でシフトが終わったら,サッサ
と帰るファーストフードとアルバイトとはいえ,
比較的長時間労働で,接客の研修時間に多くを割
いているディズニーリゾートを比較すること自体
が酷かも知れません。

ディズニーリゾートには,マニュアル化と同時に,
アルバイトにもある程度の裁量が与えられている
ことが大きいのかも知れません。

「労働には多様性をもたせなければならない。ス
ピード,リズム,持続時間を変える余地を残してお
かなければならない。仕事の手順も頻繁に変える
必要がある」
という部分で差がついているように思います。

マニュアル化されているから,つくり笑いになる
のではなく,マニュアル化しても自由度があるか
ら,本気の笑顔になるということですね。

もともとマニュル化は,アメリカの軍事産業が,
兵器を大量生産するために編み出したものです。

さらに元を正すと,ピラミッドや万里の長城も,
奴隷に石を運ぶように指示するマニュアルがあっ
たのかも知れません。

肝心なのは,マニュアル化はあくまでも生産効率,
あるいは経済効率を優先させるもので,創造性を
要求するものではないのです。

いってみれば,人間がショベルカーやブルドーザ
のような役割を果たす時代の産物です。

しかし,今では生産効率や経済効率だけで,成果
をあげるのではなく,創造性を発揮し,差別化に
よって成果をあげる時代です。

創造性を発揮するためには,人からの強制ではな
く,ある程度の裁量や自主性を尊重することで創
造性は発揮されます。

しかし,そのような仕事ぶりが要求されるように
なった歴史が浅いだけに,われわれは,まだ過去
の仕事ぶりに引きずられているのかも知れません。

仕事をマニュアル化して,それだけで満足で終わ
ってしまっているのかもしれません。
さて,あなたの職場はどうでしょうか?

つくり笑いを強制されているでしょうか?

それとも,あなたの笑顔は本気の笑顔になってい
るでしょうか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです!
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

仕事は常にコミットをする

知識労働者は,自らのためにも,貢献,集中,目的
的な企業家精神にコミットしなければならない。」
創造する経営者P306

経営者が,貢献,集中,目的についてコミットしな
ければならないといのは,当然です。

さもなければ,倒産するか,倒産しないまでも下請
け的な仕事しかできません。

ところが,経営者ではなく,労働者(知識労働者)が
コミットするというのは,なかなか難しいものだ
と思います。

マニュアル化された業務手順にしたがって仕事を
することが要求されるだけで,終わっている場合
も多いのではないでしょうか?

会社によっては,上司から人事考課も兼ねて目標
シートを記入するように強制されてコミットさせ
られるような場合もあるかも知れませんが,もし
強制されなかったら,自らの意思でコミットでき
るでしょうか?

強制されなければ,自らの意思でコミットするこ
とは,よほど意思の強い人でない限り,難しいと思
います。

そもそも,その必要がない仕事があまりにも多か
ったからです。

春になったら,種をまく,秋になったら収穫する。
身の危険が迫ったら,逃げるか戦う。

コミットをしなくても,季節の変化や周囲の状況
の変化が教えてくれたわけです。

われわれの脳や肉体は,その場の状況に応じてそ
つなく対処するにはどうしたらいいかという観点
から進化したといわれています。

もしもの事態や仮定の話から出発して,何かを成
し遂げる能力も備わっていますが,その場の状況
に応じて対処することが常に優先されます。

実際,そうでないと困りますよね。
考え事をしているときに,火事が起きたら逃げな
いといけません。

火事から危険を回避するより,考え事の方が優先
されたら命がいくつあっても足りません。

つまり,われわれは,自然とコミットが出来るよう
な体の構造をしていないということです。

しかも,われわれのかつての仕事が,春になったら
種をまく仕事が機械に変わり,害虫や病気に強い
苗をつくるにはどうしたらいいかという知識労働
に変わったということです。

その場の状況に応じて対処する仕事では,状況を
あらかじめ予想して対処する仕事にかなうわけが
ないのです。

それゆえのコミットというわけです。
ところが,コミットをするという作業は,われわれ
が本質的に備えている能力ではありません。

常に後回しにされ,忘れ去られる運命にあります。
それゆえに,なんども繰り返し,ときには挫折を重
ねながら,習慣化することによって克服していく
ということですね。

「成果をあげることは習慣である。」(経営者の条
件P15)ということに繋がっていきます。

これを書いている拙者がうまく実践できているか
といわれると非常に耳が痛いですけどね(苦笑)

しかも,コミットしたことが,上手くいけばいい
ですけれども,上手くいかないときは,自分のコ
ミットから,目をそらしたくなります。

人間の脳は,ある意味ご都合主義ですし,失望や
不満足が続くと脳にストレスがかかるので,逃れ
ようとする習性があります。

コミットするということは,良いことばかりでは
なく,失望や不満足な結果と向き合わざるを得な
いので,本能的に避けたいものなのです。

それに対して敢えて向き合える人が,現代社会で
成果をあげる人です。

さて,あなたは,自らの仕事にコミットをする習慣
を身に着けているでしょうか?

それとも,周囲の顔を伺いながら,そつなく仕事を
こなすことに夢中ですか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです!
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

人と組織を麻痺させる仕事

「大きく設計した仕事が害をなすことはない。た
とえ害があったとしても,直ちに直すことができ
る。ところが小さく設計した仕事は,人と組織を知
らぬ間に麻痺させる。」
マネジメント中P34

大きく設計した仕事というのは,大手企業のよう
に日本全国あるいはグローバルに展開する仕事と
いう意味ではありません。

小さく設計した仕事というのも,中小企業が大手
のやらないニッチな分野で小さな穴を深く掘るよ
うな仕事という意味でもありません。

ドラッカーが「イノベーションに成功するには小
さくスタートしなければならない。」(イノベーシ
ョンと企業家精神P158)といっているようなテス
マーケティングの話でもありません。

ここでいうところの大きく設計した仕事とは,高
い基準を求める仕事であり,小さく設計した仕事
というのは,誰でもカンタンに出来るような無難
でリスクのない低い基準の仕事という意味でいっ
ています。

狭く設計した仕事は,低い基準の仕事ということ
になり,停滞するということです。

人間は,無理のない程度に高い基準を与えた方が
良い結果が出ることが多いようです。

時計やGPSもない時代から,人類は,太陽の位置や
潮の満引きなどを利用して行動してきたことが知
られています。

人間はなんらかの指標を頼りに行動する習性が
備わっているようです。

日本の年間自殺者の数は2万人より多いか少ない
かと問われた場合と3万人より多いか少ないかと
問われた場合とでは,2万人より多いか少ないか
と問われた場合の方が自殺者の数を少なめに予測
するようです。

あきらかに,最初にいわれた数字に引っ張られて
しまうんですね。

こうした人間の習性をいい意味で利用するならば
,目標が高い方が良い結果が出るということなの
です。

もう一つ与えられた数字で面白いのは,日本の年
間自殺者の数は,100億人より多いか少ないかと問
われると,問題として成立しません。

日本の人口よりも多い100億という数字は,あまり
にもバカげた数字なのでこの数字には,ほとんど
引っ張られないわけですね。

こうした人間の習性を上手く利用するのであれば,
仕事は大きく設計しバカげていない程度にちょっ
と頑張らないと達成出来ないような高い基準を設
けた方がよい仕事が出来るということです。

しかし,人間には,低い基準で満足するという事
なかれ主義的な発想も同時に持っています。

同じ獲物でも,確実に仕留められるちょっと弱っ
た個体を狙うという発想です。

あまりにも,強い個体を仕留めるには,反撃され
命を危うくする危険があるわけですから,リスク
を冒さずに無難な線を狙うわけです。

大企業病ともいわれますが,人間は誰しも,本質
的にリスクを冒さず無難な線を狙う習性も持って
いるといっていいでしょう。

問題は,どうバランスを取るかです。
人間には,リスクのあるちょっと頑張らないと達
成できないような目標を与えるといい仕事が出来
るという側面をがあります。

それと,同時にリスクを冒さず無難な線を狙おう
とするという矛盾した側面を持っているわけです
から,両者のバランスを取るのは大変ですね。

この辺が,リーダースップの問題として組織の成
否をわけるように思います。

リーダーは,リスクを冒さず無難な線を狙おうと
する本能的な衝動を抑えて,あえて,リスクのあ
るちょっと頑張らないと達成できないような目標
に挑戦する姿勢を見せなくてはいけないということです。

なかなか厳しいかも知れません。
厳しいからこそ,チャレンジした人間は報われる
ということですね。

さて,あなたの仕事は大きく設計されているでし
ょうか?

それとも無難な線を狙って小さく設計し,人と組
織を麻痺させるような仕事になっていないでしょ
うか?

大風呂敷をひろげ,大口をたたいて,実際に出来
ないと恥ずかしいものです。

でも,何かを成し遂げる人は,案外叩かれるのを
承知で,大風呂敷をひろげ,大口をたたける人な
のかも知れませんね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです!
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

火事場の馬鹿力をあてにしない

「うまくいっているときほど『もっとうまくやれ
ないか』を考えなければならない。改善の戦略に
おいて原則とすべきものがこの成功の追究である。
うまくいったものをさらに改善することである。
変えることである。これら全ての責任はトップに
ある。組織の風土や姿勢に関わることはトップの
責任である。」
非営利組織の経営P76

うまくいっているときは,何もいじらない。
そのように行動してしまうものです。

うまくいっているときは,これといった問題は起
きません。
企業が倒産するという危機感もありませんね。

どのような生き物でも条件反射するようにプログ
ラムされています。

条件反射するものが何もないと惰性で過ごすしか
ありません。

おそらく,危機的な状況に追い込まれるまで行動
しないというのは,食糧事情が悪かった時代の名
残なのかも知れません。

行動するということは,カロリーを消費します。
しかも,人間の脳は他の生物と比較してカロリー
の消費が激しいことが知られています。

まあ,スマホタブレットの電池消費量のような
ものです。

特に用がなければ,セーフモードにしておかない
とすぐに充電切れを起こしてしまいます。

電池切れが起きても,すぐに充電し直すことが出
来ると良いのですが,人類の歴史の大半は食糧事
情が劣悪でした。

危機的な状況でもないときに,無理して行動を起
こすと消費カロリーを補給できずに餓死してし
まうわけですね。

大企業病と揶揄されますが,いってみれば人間の
行動や価値観として極めて正しい!(笑)

ところが,いまは生活に必要な物資が行き届いた
過当競争の時代です。

人間も餓死する人よりも,肥満が原因で死亡する
人の方が多くなって来たわけです。

危機的な状況まで追い込まれてから行動するので
あれば,あっという間に置いてきぼりになります。

火事場の馬鹿力とよく言いますが,これに頼り
過ぎてはいけないということですね。

成功に甘んじるのではなく,成功は捨て去れと
いわれます。

とはいえ,うまくいっているときに,あえて行動
をするのは,生き延びるための知恵として,なる
べく消費カロリーをセーブするように刷り込まれ
た我々にとっては,非常に難しいことです。

音頭を取る人が必要とされるわけです。
つまり,「トップの責任である」ということですね。

トップが旗振り役を演じないと,人間は本能のま
まに流されるということです。

そのトップも,本能のままに行動してしまっては,
目も当てられないということになりますが,これ
が出来ていたら,企業の不祥事なんて起こり得ま
せん。

企業の不祥事が起きるということは,いかにわれ
われが本能に逆らって正しい経営判断をすること
が難しいかを物語っています。

しかし,難しいからといって,これを避けること
は許されないわけですね。

さて,あなたの会社のトップは,惰性で動く人でし
ょうか?

それとも惰性にながされず,あえて困難に立ち向
かって行動する人でしょうか?


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
→ http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです! 
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

年商は会社の優劣と無関係

いかなる企業といえども,市場の拡大と歩調を
合わせていくうえで必要とされる最低限度の成長
を超えて,より大きくなろうと懸命になる必要は
ない。」

「繰り返すならば,目標としての成長は幻影である。」
マネジメント下P261

会社の規模のモノサシとして,よく使われるのが,
年商○億というものです。
あるいは,社員数や営業拠点などですね。

マスコミなどで取り上げられるのは,比較的規模
の大きな企業が多いだけに,年商などの会社の規
模の拡大に走ってしまう欲求が出てきますね。

コバンザメや寄生虫のような習性が備わっていれ
ばよいのですが,人間はそのような習性を持ち合
わせていないのかも知れません。

弱肉強食の世界の隙間を生き抜くのではなく,真
正面から戦ってきた人間は,相手に弱みを見せる
のではなく,相手に自分をより大きく見せようと
するのかも知れません。

また,基礎的な物理の法則を人間は教えられなく
ても理解しています。

軽自動車と大型トラックが衝突したら,軽自動車
が吹き飛んでしまうことは,物理の法則を知らな
くても,当然のこととして脳が判断します。

小さなものよりも,大きなものの方が安全だとい
うことを本能的に感じ,大きなものを選択する傾
向がわれわれにあります。

いわゆる見栄というヤツですね。
見栄を張るというのは,恥ずかしいことだという
教育を受けていますが,これがなければ我々は死
に絶えていたと思います。

弱肉強食の世界で真っ先に食われるのは,群れの
中で弱ったものです。

そうならないためには,自分が弱っているそぶり
を見せてはいけないのです。

お腹を壊して調子が悪かったとしても,敵にそん
な素振りを見せていたら,真っ先に食われてしま
います。

ところが,現代は,自然界の弱肉強食の世界ではあ
りません。

また,物理の法則でマネジメントをしているわけ
でもありません。

見栄もある程度,必要ですが過度な見栄は,逆に自
分を苦しめます。

しかし,見栄という呪縛に人間はなかなか,打ち克
つことができないようです。

規模の大きさ,特に年商が,相手に自分を大きく見
せるためのわかりやすい指標であるがゆえに,大
は小を兼ねるとばかりに拡大競争をしてしまうの
かも知れません。

ところが,特に知識型産業の場合は,規模の大きさ
よりも,独自の技術やノウハウで成果をあげます。

年商は会社の優劣とは無関係であり,自然界の
弱肉強食の論理は関係ないわけです。

むしろコバンザメや寄生虫のようなニッチなやり
方が差別化の原動力となり成果をあげることが出
来る可能性があるわけですね。

会社の規模というモノサシが優劣を決めるわけで
はないにも関わらず,人類の長い歴史が,コバンザ
メや寄生虫の生き方を選択しなかったがゆえに,
つい意味のない拡大に走ってしまうということで
すね。

特に知識型産業の場合は,規模を大きくして拡大
路線に走ると成長の原動力となった独自の技術や
ノウハウのあくなき追求が二の次となり,数字を
負うことに重点がおかれてしまいがちです。

拡大路線は,ある程度必要ですが,拡大路線には
限度があるということを知らなければなりません。

人間に誰でも備わっている見栄という誘惑に勝
ち, 「目標としての成長は幻影である。」という気
持ちの余裕を持ちたいものですね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッカー名著集のお買い求めは,こちらです!
http://ow.ly/2UDs1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川越駅を西向けば税務の110番はこちらです!
http://zeimu110.com

ライン公式アカウント「@zeimu110」
http://accountpage.line.me/zeimu110

まぐまぐ殿堂入り
ドラッカーに学ぶ!成果をあげる人・あげない人

発行者:税務の110番! 税理士 大林 茂樹
ドラッカー学会会員)

〒350-1126
埼玉県川越市旭町1-4-38

お問い合わせは,いつでもどうぞ!
http://wp.me/P2JWBR-22

●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━