仕事の分析で陥る罠に気をつける

「仕事の分析にとって最も重要なステップが抜け
ている。仕事の分析は,必要な作業を明確にするこ
とから始まるのではない。望ましい最終商品を規
定することから始まる。」
マネジメント上P255

一般的に,業務のマニュアル化にとって最も重要
なステップは,必要な作業を明確にすることから
始めることです。

テイラーが提唱したといわれる科学的管理法も
目の前に与えられた仕事を効率的なものにするに
はどうしたら良いかからスタートしました。

そもそも,その仕事がする必要のない仕事なのか
どうかを検討することは,あまりなかったのです。

もともと,人間というより生物の脳みそは,目の前
の危険に対して,対処するのか,逃げるのかを
瞬時に判断するように出来ています。

銃も自動車もない太古の昔で,目の前に提示され
た課題を前にして,その課題がする必要のない仕
事なのか否かをじっくり考えていたら,天敵に襲
われてしまいます。

思うより先に行動せよ,そうでなければ,食われ
るぞの世界だったわけですね。

ところが,現代社会では,思うより先に行動した
ら,いろいろと支障をきたします。

「オレだよ,かあちゃん,実は事故にあっちゃっ
てお金が必要になったから,すぐにお金を振り込
んでよ」といわれて,振り込んだら大変です。

しかし,われわれの祖先が,厳しいサバイバル競
争を生き抜く過程のなかで,思うより先に行動せ
よという方程式で成功をしてきただけに,なんで
もかんでも思うより先に行動するようですね。

振込詐欺による被害額が,なんと200億円以上と
いうことからして,いかに人間が思うより先に行
動してしまうのかを物語っているといえそうです。

仕事の分析も,思うより先に行動してしまうと大
変です。

たとえば,その仕事が本来,自ら手がける仕事では
なく,アウトソーシングすべき仕事であったので
あれば,いくら効率化しても無駄な努力です。

人間の思考が,まず仕事ありきでスタートする習
性があるがゆえに陥るワナなんですね。

はじめからマニュアル化ありきではなく,望まし
い最終商品は何かを規定することからスタートし
ないと,無駄な仕事を効率化してしまいます。

仕事の分析を考えるうえで,陥る罠というわけ
ですね。

望ましい最終商品はなにかという問いは,お客様
の満足とは何かを問うことであり,われわれの事
業は何か,何になるか,何であるべきかを問うこと
からスタートするということから始まります。

しかし,それはマニュアル化のように初めから答
えが与えられ,いろいろなツールが利用できるよ
うな代物ではないだけに,無視されるか,なおざり
にされるかのどちらかになってしまいがちです。

無駄な仕事は,誰でもやりたくありません。
しかし,その仕事が無駄かどうかは,ぼーっと
していたら,気が付きません。

どうしようもなく,手遅れの状態になって,
はじめて気が付くわけですが,それでは,困る
わけですね。

無駄な仕事を事前に把握する,おそらく唯一の方
法が,望ましい最終商品(あるいはサービス)を
規定することです。

これを規定し,そこから外れたものは,無駄な仕
事なので,仕事の分析の対象から外し,縮小撤退
を検討し,規定に合致したものだけに集中するわ
けですね。

とはいっても,人間の習性は,無駄かどうかより
も,まず目の前の課題の始末を優先しようとする
だけに,実行は難しいわけですね。

そもそも,望ましい最終商品を規定する必要性す
ら感じないのが普通だと思いますが,成果をあげ
るためには,避けて通れない道なのです。

さて,あなたの業務の効率化は,マニュアル化から
スタートしているでしょうか?

それとも,望ましい最終商品を規定することから
スタートしていますか?

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