知識労働者と企業家精神

知識労働者は,自らのためにも,貢献,集中,目的
的な企業家精神にコミットしなければならない。」
創造する経営者P306

経営者が,貢献,集中,目的についてコミットしな
ければならないといのは,当然です。

さもなければ,倒産するか,倒産しないまでも下請
け的な仕事しかできません。

ところが,経営者ではなく,労働者(知識労働者)が
コミットするというのは,なかなか難しいものだ
と思います。

マニュアル化された業務手順にしたがって仕事を
することが要求されるだけで,終わっている場合
も多いのではないでしょうか?

会社によっては,上司から人事考課も兼ねて目標
シートを記入するように強制されてコミットさせ
られるような場合もあるかも知れませんが,もし
強制されなかったら,自らの意思でコミットでき
るでしょうか?

強制されなければ,自らの意思でコミットするこ
とは,よほど意思の強い人でない限り,難しいと思
います。

そもそも,その必要がない仕事があまりにも多か
ったからです。

春になったら,種をまく,秋になったら収穫する。
身の危険が迫ったら,逃げるか戦う。

コミットをしなくても,季節の変化や周囲の状況
の変化が教えてくれたわけです。

われわれの脳や肉体は,その場の状況に応じてそ
つなく対処するにはどうしたらいいかという観点
から進化したといわれています。

もしもの事態や仮定の話から出発して,何かを成
し遂げる能力も備わっていますが,その場の状況
に応じて対処することが常に優先されます。

実際,そうでないと困りますよね。
考え事をしているときに,火事が起きたら逃げな
いといけません。

火事から危険を回避するより,考え事の方が優先
されたら命がいくつあっても足りません。

つまり,われわれは,自然とコミットが出来るよう
な体の構造をしていないということです。

しかも,われわれのかつての仕事が,春になったら
種をまく仕事が機械に変わり,害虫や病気に強い
苗をつくるにはどうしたらいいかという知識労働
に変わったということです。

その場の状況に応じて対処する仕事では,状況を
あらかじめ予想して対処する仕事にかなうわけが
ないのです。

それゆえのコミットというわけです。
ところが,コミットをするという作業は,われわれ
が本質的に備えている能力ではありません。

常に後回しにされ,忘れ去られる運命にあります。
それゆえに,なんども繰り返し,ときには挫折を重
ねながら,習慣化することによって克服していく
ということですね。

「成果をあげることは習慣である。」(経営者の条
件P15)ということに繋がっていきます。

これを書いている拙者がうまく実践できているか
といわれると非常に耳が痛いですけどね(苦笑)

しかも,コミットしたことが,上手くいけばいい
ですけれども,上手くいかないときは,自分のコ
ミットから,目をそらしたくなります。

人間の脳は,ある意味ご都合主義ですし,失望や
不満足が続くと脳にストレスがかかるので,逃れ
ようとする習性があります。

コミットするということは,良いことばかりでは
なく,失望や不満足な結果と向き合わざるを得な
いので,本能的に避けたいものなのです。

そしてコミットしたことが,未達成に終わると
周囲の目が気になって恥ずかしい思いをするかも
知れません。

それに対して敢えて向き合える人が,現代社会で
成果をあげる人です。

さて,あなたは,自らの仕事にコミットをする習慣
を身に着けているでしょうか?

それとも,周囲の目を気にしながら,そつなく仕事を
こなすことに夢中ですか?

確かにどちらも大事ですが,周囲の目を気にしす
ぎてコミットすることを恐れないようにしたい
ものですね。


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