知識労働者としての責任を果たす

「分析,統合,管理というステップは,特に知識労働
おいて重要な意味をもつ。知識労働の直接の成果は
物ではないからである。誰か他の者への貢献だから
である。」 マネジメント上P233

自動車会社が製造する自動車は,作業工程を目で追っ
ていくことが可能 です。

しかも,最終製品である自動車の完成をもって作業が
完了です。

ところが,知識労働は,成果物があるとは限りません
し,作業工程も目で追っていけるようなシロモノで
もありません。

自動車会社は,成果物として自動車を世に出します
が,自動車会社の 社長が,自動車を造るわけではあり
ません。

自動車会社の社長は自らの手で自動車を造るわけで
はないのに,一番の高給をもらっています。

そして,実際に自分の手を動かして自動車製造に携わ
った人間は,社長 より安い年俸で働いています。
では,社長がなぜ多くの給料を貰えるのか?

その理由は,「誰か他の者への貢献」に携わるからで
す。 自動車の製造に携わる人間は,自動車の製造に
集中します。

もちろん,最終消費者である顧客への貢献を忘れては
いけませんが, 仮に欠陥があったとしても,顧客に対
して直接責任はとりません。

社長は,自動車の製造に直接関わらなくても,顧客に
対して責任を負わなければなりません。

知識労働の直接の成果は物ではないからである。
誰か他の者への貢献だからである。」 という部分を
「社長の直接の成果は物ではないからである。最終
消費者である顧客への貢献だからである。」と置き換
えるとハッキリとしてきますね。

それゆえに,社長は,「分析,統合,管理」に責任を負
わなければならないということになります。

では,分析とはなにか?
いま手掛けている仕事の内容や手順を分析するこ
とからスタートするのは,間違いとドラッカー
言っています。

望ましい製品は何かを考えることからスタートす
るということですね。

そして,統合とは営業担当者,技術者,デザイナーなど
様々な関係者の意見を統合することからスタートし
ます。

最後の管理ですが,上手くいかなかったときに担当者
を叱責することで 終わるのは,管理ではありません。

上手くいかなかったときに,「具体的な目標,期限,担
当を含む実行計画」(マネジメント上P151)と照らし
あわせて,より良い方向に,逐次フィード バックして
いくことが管理です。

これらの責任を負うがゆえに,自動車の製造に直接携
わることのない 自動車会社の社長が,一番多くの年俸
を貰う理由です。

燃費の不正問題やリコール隠しなどの隠ぺい体質を
放置し,多くの年俸を貰うだけの価値がないという
社長も中にはいるかも知れません。

とはいえ,社長の責任を理解することは,知識労働
本質を知る上で 重要なことです。

社長ではない,われわれ一般人の仕事の取り組み方に
もフィードバックできるものがたくさんあるハズです。

さて,あなたの仕事は最終成果物をつくるだけで終わ
っていないでしょうか?

それとも,知識労働者としての責任を果たしているで
しょうか?

なかなか難しい課題で,拙者自身耳が痛いところが
ありますが,多くの気づきを与えてくれますね。

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