戦略計画で優先すべきものは何か?

「陳腐化したものの廃棄抜きに新しいことに取り
組む戦略計画は,いかなる成果も生むことがない
といってよい。」
マネジメント上P159

戦略計画で最優先すべきことは,いきなりあたら
しいものに飛びつくのではなく,廃棄が先である
ということです。

ところが,これが人間にとっては難しいことです。
廃棄を先にやるのを躊躇させるのが,人間のリスク
分散思考です。

あれもコレも少しづつ手を出すことによって,一つ
のことに依存するリスクを回避するという本能
といってもいいでしょうか?

われわれは,このリスク分散思考によって,一つの
食材が枯渇しても餓死することなく生き延びること
が出来たわけですが,こうした本能が廃棄を先に
やることを躊躇させているのかも知れません。

廃棄すべきことはなんとなくわかっているけれど,
本当にダメになるまでは,なんとかその場しのぎで
誤魔化して,新しい柱が育つのを待った方が安全だ
という思考回路が頭を支配してしまいます。

たしかに,石器時代に餓死を回避するためには,
リスク分散思考は有効です。しかし,それでは
現代社会で成果をあげるための差別化が出来ま
せん。

その他大勢の中に埋もれるだけですね。
リスク分散思考の誘惑に負けずに廃棄の決断を
しなければならないということです。

ところが,廃棄の決断をするときに,待ったをかける
人間の思考回路がもう一つあるような気がします。

愛着を持ったものは,捨てられないという本能です。
子育ての論理とも言えますね。

コレ以上投資しても成果をあげることが出来ないの
であれば,廃棄するというのが事業活動です。

しかし,コレ以上投資しても成果をあげることは
無理そうでも,廃棄することが出来ないのが子育て
です。

こうした本能のおかげで,我々の多くは生きている
わけですね。

もし,愛着のあったものでも成果をあげられなけ
れば廃棄するという習性を身につけたら,われわれ
のほとんどは,生きていないでしょう。

われわれ凡人は,充分な親孝行も出来ず,親が期待
した以上の成果をあげることもないわけです。

それでも,いま生きているのは,愛着を持ったもの
は捨てられないという習性の賜物です。

しかし,子育てと事業活動は全く別のものです。
ところが,われわれの習性が,成果をあげることの出来
なくなった事業を廃棄することを,心理的に拒んでし
まうわけですね。

それだけに,廃棄は難しいのですが,もし廃棄するか
どうかを迷ったときに問うべき問いをドラッカー
用意しています。

「まだ行っていなかったとして、いまこれに手を
つけるか」(経営者の条件P142)という問いです。

「まだ行っていなかったとして」とあるのは,事業
に対する思い入れや愛着を抜きにして,考えるため
の大前提です。

しかも,第三者の目で見るとどうみえるのかを促す
問いでもあります。

われわれにとって,廃棄は本質的に苦手な分野ですが,
われわれの知識を総動員して,克服していく必要が
あるということです。

さて,あなたの事業活動に廃棄すべきものはない
でしょうか?

廃棄すべきものがあったとしたら,いつ廃棄
しますか?

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