「一生懸命やっても駄目」は言い訳にならない

「組織構造は,組織のなかの人間や組織単位の関心
を,努力ではなく成果に向けさせなければならない。」
マネジメント基本と原則P200

日本人は,基本的に勤勉でまじめですから,一部の
例外を除けば,みな一生懸命働いています。
したがって,こんな残念なことが実際に起こります。

「失敗した人たちのほうが,よく働いていたという例
も多い。」
経営者の条件P85

これは,どうしてなんでしょう?
成果をあげるために必要とされることの意味が
変わったことが大きな原因といえそうです。

建設機械もコンピュータもなかった時代は,人間
が肉体を酷使して,建設機械の役割を果たしました。
ピラミッドや日本の城郭は,まさにそうですね。

人道的な問題を別とすれば,多くの奴隷を必要とし,
いわれたことを黙々とこなせば大きな成果をあげる
ことが出来たわけです。

われわれ人類は,長い間このようにして成果をあげて
来ました。

そして,20世紀中頃の世界大戦でさえ,飛行機や戦車
が編み出されたとはいえ,軍隊の中心は依然として
歩兵だったわけです。

肉体労働の多くが機械化されたのが,人類の長い歴史
からすると最近のことであるために,われわれが依然
として肉体労働で成果をあげようと行動するのも,
ムリもない話といえそうです。


成果は肉体的な努力ではなく,顧客の満足によって
もららされる時代になったわけですが,頭で理解
していても,実践するとなると,難しいものです。

顧客を満足させているかどうかを知るには,一旦
手を休める必要が出てきます。

顧客に満足しているかどうかを聞かないといけ
ないわけですから,目の前の仕事を黙々とこなして
いるだけでは,聞くチャンスを逃してしまいます。

これも,これまでの仕事の概念とな少々異なるものです。
いままでは,物資が乏しかったので,大量生産によって
いかに効率をあげるかというのが成果の分かれ目でした。

それを一旦手を休めて顧客の満足をしているかどうかを,
聞きに行くわけですから,効率をあげることと矛盾する
わけですね。

成果の概念が大きく変わってしまった現代社会ですが,
我々がいってみれば,本能的に成果だと思ってしまう
努力や効率と矛盾する部分が出ているだけに難しいのです。

われわれは,つい部下にたいして,つべこべ言わずにさっさ
とやれと言ってしまうことからして,一旦染み付いた感覚
から抜け出すのは難しいのです。

もちろん,ある局面では,つべこべ言わずにさっさとやれ
という部分が未だに有効でしょうが,仕事は,それが全て
ではないということですね。

我々の努力が,組織の構成員の肉体労働的な自己満足に
近いものなのか?

それとも,顧客を満足させ成果をあげるための知識労働
な努力なのかを見極めないといけないということです。

同じ努力でも報われる努力と報われない努力があるわけ
です。

単に努力したけどダメだったというのは免罪符になら
ないといってもいいかも知れません。

一生懸命やったけど,駄目だったというのも,言い訳に
なりません。

一生懸命が,ただ単に手足を動かしただけなのか?
顧客の要望を取り入れるために一生懸命だったのか?
同じ一生懸命でも,両者は質が違います。

もちろん,求められるのは,手足を動かすのに一生
懸命だったのではなく,お客さまの期待に応えるために
一生懸命だったかどうかです。

「失敗した人たちのほうが,よく働いていた」という
悲劇を繰り返さないためにも,われわれは常に立ち
止まって顧客の満足を検証する必要があるということ
ですね,

さて,あなたは,何に一生懸命だったでしょうか?

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