大衆迎合と雇用のミスマッチ

「大きな組織で働いたほうが仕事ができるか,小
さな組織のほうが仕事ができるかである。どちら
でもよいという人はあまりいない。」
明日を支配するものP206

本来人間は,大きな組織で成果をあげられる人と
小さな組織で成果をあげられる人にわかれるとい
うことです。

両方ともOKという万能選手はいないにも関わら
ず,多くの人は,寄らば大樹の陰とばかりに,大企
業や有名企業に入りたいと願います。

そのためのテクニックを磨く講座まであるくらい
です。

しかし,ドラッカーにいわせると誰もが,大きな組
織で成果をあげられるわけではないということに
なります。

大企業や有名企業に入りたいと願い,そのための
テクニックを磨いている人の中には,その努力が
成果に結び付かない人がいる。
しかも,思ったより多いよということです。

だから,中小企業に就職してみては?と敢えていい
ません。

自分が大企業に向いているか,向いていないかな
んて,そもそもわからないのです。

しかも,人間の本能として長いものには巻かれろ
式に大きな組織に身を置こうとするのは,理にか
なっているように思います。

見知らぬ街で,どこで食事をとっていいかわから
ないときに,とりあえず行列のある店に入ろうと
いう心理が働きます。

いわゆるグルメ本も多数出版されています。
自分の評価基準があいまいなとき,人間はとりあ
えず大多数の意見に従おうとする本能が働きます。

大多数の意見に逆らうということは,村八分の危
険があります。
特に,物資の乏しい社会では命を危うくします。

大衆迎合を揶揄されることもありますが,この本
能によって,われわれは社会を築き上げてきたわ
けです。

自分が就職しようと考えたときも同じです。
自分が何に向いているかという確固たる判断基準
がないときは,行列のあるレストランに入ろうと
する心理と同じ心理状態になります。

毎年就職人気企業ランキングが出ますが,それを
基準に自分が就職したい会社を決めようとするわ
けですね。

しかし,人間は同時に多様性を持って生まれてき
ています。

足が速い遅い
スポーツの上手い下手はある程度生まれつきです。

どんなに努力しても,大多数の人間はプロの選手
にはなれません。

それと同じことが,実は仕事の仕方にもあらわれ
るということです。

大企業向きかそうでないかも,本人の努力とは違
うように思えます。

自分は大企業向きではないと知りましたが,実際
に就職してみるまでわかりませんでした。
では,もし大企業向きではないとわかったら?

就職人気企業ランキングに出ている企業の中には,
そういう人材を社内ベンチャーか子会社に出向さ
せるなどして,有効に活用しているようです。

この辺は流石だなと感心するところがありますが,
就職人気企業ランキングに出ている企業の全てが
人材活用に長けているわけではありません。

枠からはみ出た人材をうまく活用できない企業も
多いと思います。
では,そんなときどうすればいいのか?

「組織が腐っているとき,自分が所を得ていない
とき,あるいは成果が認められないときには,辞め
ることが正しい道である。出世は大した問題ではない。」
(非営利組織の経営P213)というのが勇気を与えて
くれるかも知れません。

実は,拙者も大学を卒業して都市銀行に入りました。
でも,本能的になんか違うと感じるのにそう長い
期間を要しませんでした。

結果的に,退職を選択するわけですが,チラッと銀
行員の生涯賃金というのが気になりました。

われわれの商売は,退職金がないので,「銀行員の
生涯賃金に遥かに及ばない人生」になる可能性は,
かなり高いと思います(涙)

銀行を辞めるときに,ドラッカーを読んでいたわ
けじゃありませんが,なぜか,「出世は大した問題
ではない。」と思えました。

もし,会社を辞めようかどうしようか悩んでいる
人がいたら,「出世は大した問題ではない。」の部
分は要チェックです。

とはいえ,なかなか実行は難しいかも知れません。
行列のあるレストランをものともぜずブレイクす
る(かどうかもわからない)前の行列のないレスト
ランを発掘するようなものですからね。

本来は,生き延びるために身に着けた大衆迎合
いう人間の本能からすると,見も知らぬ行列のな
いレストランをわざわざ選択することは困難です。

そして,不平不満を抱きながらも,給与体系や社
会的信用などを考えると,やはり有名企業にいる
だけで丸儲けという部分があります。

ただ,せっかく有名企業に入ったのに,なじめず
に自殺してしまう方が,後を絶ちません。

過酷な労働条件だった,あるいは,パワハラ,モ
ラハラがあったと会社をせめても,命はかえって
こないのです。

死ぬくらいだったら,「出世は大した問題ではない。」
という部分を思い出して欲しいですね。

目に見えた生涯賃金とか福利厚生で人生が決まる
わけじゃないのです。

有名企業に入れなかった,あるいは,なじめなか
ったからといって,自分を卑下するのは,やはり
間違っていると思いますが,大衆迎合の本能に反
するだけに,やはり難しいのでしょうか?

雇用のミスマッチも案外こんなところにあるのか
も知れませんね。

さすがに,中高年に差し掛かると,自分は絶対
大企業では,通用しないとハッキリわかります。

しかし,若いうちは,確固たる判断基準がない
ので,どっちが向いているか,わからないのも
ムリのないことだと思います。

さて,あなたは自分の力を発揮できる所を得てい
るでしょうか?

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