成功は捨て去れといわれてもムリ?

「既存の企業が企業家精神を発揮するには,自ら
の製品とサービスが競争相手によって陳腐化させ
られるのを待たず,自ら進んで陳腐化させていか
なければならない。」
(イノベーションと企業家精神P180)

成功は捨て去れという言葉を耳にしたことがある
と思います。

しかし,実際には成功を捨て去るどころか,むしろ,
成功体験に固執します。

考えてみれば,当たり前ともいえます。
外敵に襲われない最良の方法は,安全な場所に身
を隠すことです。

穴倉にジッと構えて,蓄えた食料が底をついてき
たら行動するというのが,生き残るための知恵です。

危機が迫っておらず用もいないのに,ノコノコと
出歩くのは危険です。

日本だとあまり実感が湧かないかも知れませんが,
治安の悪い国や地域では,現在でも当たり前のよ
うに実践されています。

われわれが,現状維持を好み差し迫った危険を感
じないと行動しないというのは,本能的な習性な
のかも知れません。

それゆえに,上手く行っているときは成功にすが
り変化を求めらがらないわけですね。

しかし,われわれの多くは日々身の危険を感じる
ような職業についていません。

自分の安全を自分で守るという場面に遭遇するこ
とはほとんどないと言っていいでしょう。

しかも,成果は差別化によって得られます。
現状維持本能で,成功にすがっていたら,差別化で
きません。

また,特に現代社会における成功というのは,極め
て危ういものであるということです。

自社に青色発光ダイオードのような特許があれば,
違ってくるのでしょうが,多くの企業はそのよう
なものを持ち合わせていません。

成功というものが,たまたま運が良かっただけで,
本当の実力ではない場合も多いのです。

例えば,老舗の和菓子屋が新工場の設備投資失敗
で存亡の危機に陥っていたとします。

先代から事業を承継した二代目社長は,これまで
の出店方針をあらため駅ナカに絞って出店し,駅
ナカ向けに開発した新商品も大好評を博し業績は
V字回復しました。

この事例だと二代目社長はカリスマ経営者という
ことになろうかと思います。

しかし,駅ナカに出店できたのは二代目社長が駅
ナカの責任者と幼なじみだったからであり,快進
撃の立役者となった新商品はゆるキャラ人気にあ
やかったものであったとしたら,どうでしょうか?

二代目社長の功績を全て否定するわけではありま
せんが,成功が運というものに,思った以上に依存
しているといえないでしょうか?

われわれが抱いている成功体験もこれに似たり寄
ったりです。

成功したという事実だけがひとり歩きし,あたか
も天下を取ったように考えてしまいがちですが,
実は,たまたま運が良かっただけというのが意外
と多いものです。

こうした運任せの成功は,あっという間に消え去
ってしまいますし,たまたま運が良かっただけな
のに,自分の実力と勘違いして大博打を売って失
敗するというのが関の山です。

500円の格安ピザで急成長した外食チェーンが
経営破綻しましたが,これなんかも,成功体験が
永遠に続くと過信した結果といえますね。

われわれは,成果をあげるために現状維持を良し
とせず,成功体験はたまたま運が良かっただけと
思っていた方がいいかも知れません。

それゆえに,成功は捨て去り,「自らの製品とサー
ビスが競争相手によって陳腐化させられるのを待
たず,自ら進んで陳腐化させていかなければなら
ない」ということになってくるのでしょうね。

とはいえ,これは我々が持っている現状維持の本
能に反するがゆえに実行するのはむずかしいと思
います。

それゆえに,自らの成功体験をキッパリと捨て切
れる人が成果をあげることが出来るというわけで
すね。

さて,あなたの成功体験は本物でしょうか?
それとも,たまたま運が良かっただけですか?
一度じっくりと考えてみる必要がありそうですね。

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